放送回情報
- タイトル:第1週「人間なんてさみしいね」第5話
- 放送日:2025年4月4日(金)
- 時代背景:昭和2年・高知県御免与町
第5話のあらすじネタバレ|言葉にならない想いを絵に託して
父の死が告げられる朝田家
朝田家に一本の電話が鳴り響いたのは、静かな夜のことでした。
その知らせが、のぶの世界を大きく揺るがせます。
父・結太郎が帰ってこない──その現実が、否応なく家族に突きつけられたのです。
父・結太郎は、東京からの出張の帰り、船内で心臓発作を起こし、急逝してしまったのです。
泣けないのぶの静かな混乱
母や妹たちが泣き崩れる中、のぶだけが一粒の涙も流さず、まるで心の時間が止まってしまったかのように、ただ座り込んでいました。
言葉を失い、表情もなく、ぽつんと居間の片隅に座るその姿は、逆に彼女の胸の内にある混乱や喪失の大きさを物語っていました。
のぶのことを心配する祖父母や家族。
しかし彼女は誰にも心を開こうとしません。
あまりに静かなのぶの様子に、嵩もまた胸を痛めていました。
嵩自身も父を亡くした経験があるからこそ、のぶの中にある“泣けない苦しさ”を理解できたのかもしれません。
駅へと走るのぶ、届けられた一枚の絵
そして翌日、のぶはふいに立ち上がり、走り出します。
行き先はあの駅。父と最後に言葉を交わした、あの場所。
春の空の下、帽子をかぶったまま、のぶはただ懸命に走る。
追い風に背中を押されるように、駅のベンチを目指して駆け抜ける。
そこにいたのは嵩。
ベンチに静かに座り、誰かを待っていたようにも見えました。
のぶが足を止めたその瞬間、嵩は何も言わずに一枚のスケッチを差し出します。
そこには、父と娘が駅のホームで別れたあの日の姿が、丁寧に描かれていました。
その絵を見つめたのぶの表情が、ゆっくりと揺らぎます。
絵を通じて父と再び再会したような、不思議な感覚。
感情が一気に押し寄せる中、のぶはようやく、涙の代わりに頬をふるわせるのでした。
あんぱんの温もりが心に灯すもの
そしてその夜、朝田石材店の前では、屋村草吉が焼きたてのホカホカのあんぱんを朝田家に届けます。
甘く香ばしい香りに包まれた家族たちは、ひと口ひと口あんぱんを味わいながら、少しずつ、心の隙間に温かさを取り戻していきます。
「ホカホカする……」
とつぶやく羽多子の表情も、ようやく柔らかく緩みました。
のぶもその味に、生きる力を少しだけ取り戻したような顔を見せて、そっと涙を浮かべます。
感想・考察|“泣けなかった”少女が歩き出すきっかけ
この第5話は、ひとことで言えば「沈黙の物語」だったと思います。
言葉では伝えきれない想い、言葉にならない悲しみ──
のぶはなぜ泣けなかったのか。
のぶはまだ、自分の中で“お父さんがいなくなった”という現実を認めきれなかったからではないでしょうか。
幼い心にとって、それを受け入れるには、少しだけ時間が必要だったのだと思います。
そして、走るという行動に出たこと。
これはのぶの“心の叫び”だったのだと思います。
何かに突き動かされて走り出した彼女は、きっとその瞬間、無意識に「お父さんに会いたい」と思っていたに違いありません。
そんなのぶの前に現れたのが嵩。
彼もまた、自分の父との別れを経験しているからこそ、のぶの苦しみが手に取るようにわかっていた。
その嵩が、そっと描いた一枚の絵。言葉ではなく“記憶”を、彼はのぶに手渡したのです。
そしてその絵が、のぶの心にようやく届いた。
それはまだ、涙ではなかったかもしれません。
でも、“受け止める”という第一歩にはなっていたと思います。
悲しみとは、泣くことだけではない。誰かと記憶を分かち合うこと──その意味を深く教えてくれるような回でした。
第5話は、のぶと嵩の心が交わる最初の分岐点。
とても静かで、でも確かな“前進”を感じさせる、大切な一話だったと思います。
まとめ|悲しみの中にある「ぬくもり」と再生の兆し
父の死という重い現実に向き合う中で、のぶは走り、絵に出会い、あんぱんを味わいました。
そのすべてが、彼女の心を少しずつ「ホカホカ」させてくれたのです。
「泣けない」ことも、「泣けた」ことと同じように大切な感情。
絵とあんぱんが、のぶの歩き出すきっかけになったこの回は、朝ドラ『あんぱん』の中でも心に残る名エピソードになるのではないでしょうか。
第5話 登場人物紹介
- 朝田のぶ(演:永瀬ゆずな)
父を亡くしたばかりの少女。まだ涙は流せないが、心にぽっかりと空いた穴を抱えている。 - 柳井嵩(演:木村優来)
のぶの同級生。絵を描くことで、自分の気持ちと向き合おうとしている。 - 朝田結太郎(演:加瀬亮)
のぶの父。東京出張中に急死。娘との再会を果たせないまま旅立った。 - 朝田羽多子(演:江口のりこ)
のぶの母。家族を支えようとするが、夫の死に心を痛める。 - 朝田蘭子・メイコ(演:河合優実・原菜乃華)
のぶの妹たち。まだ幼く、家族の変化を受け止めきれない。 - 屋村草吉(演:阿部サダヲ)
パン職人。あんぱんを通じて、人々の心にあたたかさを届ける存在。 - 柳井寛(演:竹野内豊)
嵩の伯父で町医者。少年たちの内面を静かに見守る存在。
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